付録3:ビジョン

 我々OVO.SPACEが描き出すビジョンは、次に述べる簡単なストーリーをもって表現できます。ストーリーの背景は、ブロックチェーン技術が世間の常識として使われている世界です。

『太郎は無名なイラストレーターですが、毎日コツコツとSNS上に自分の描いた作品をアップロードしながら、いつかプロとして活躍する日を思い描いています。

 SNS上にアップロードした作品に「いいね!」が付く度に、ドキドキしながらスマホを確認しますが、いつも「いいね!」を押してくれる相手は知り合いばっかりでした。感謝はしているつもりですが、太郎が期待しているのはこういうものではありませんでした。本当は、「バズりたい!もっと沢山の人々に認めてもらいたい!」という気持ちの方が本音でした。

 残念ながら、太郎にはイラストの才能がありませんでした。実は、友人たちも知っていますが、夢に向かって頑張っている彼を見ると、中々真実を言えなかったわけです。

 それから数ヵ月経った頃でした。太郎はすでに2百部以上の作品をSNS上にアップロードしました。しかし、フォロワー数はあまり増えておらず、「いいね」を押してくれる人々は相も変わらずいつもの知り合いでした。そんなある日、ある有名なプロのイラストレーターがアップロードした作品がSNS上でバズって、一時的にネット住民達を沸騰させました。太郎もその話題性に引き寄せられて、そのプロのイラストレーターが描いた作品を調べてみましたが、びっくりして顎が落ちるのかと思いました。

 なんと、太郎が1ヶ月前に描いた作品とそっくりだったからです。もちろん、作品のクオリティは太郎より遥かに高いですが、作品の構成から内容まで、まるで太郎の描いた作品と瓜二つでした。憤りを感じた太郎は、自分の作品をパクったイラストレーターにコメントを残すことに決めました。

 太郎はそのイラストレーターがアップロードした作品の下に、「この人、僕が1ヵ月前に発表した作品をパックってます!」と書き残して、自分が描いた作品のリンクを貼りました。数分後、太郎に攻撃的なコメントを返したユーザー達が急激に増えました。更にひどいのは、今まで太郎がアップロードした作品を嘲り笑う悪評が増え始め、ついには太郎の人格を侮辱するヘイトスピーチまで現れ始めたのです。

 太郎は一瞬、絶望のどん底に落ちた気分でした。今まで、これほどの精神的な痛みを感じたことがありませんでした。そこで太郎は初めて気づいたのです。SNSはカオスそのものだったのです。まるで非理性の塊のように見えてきました。がっかりした太郎は、パソコンを閉じて、このまま夢も何も諦めようとしました。

 数時間経った頃です。

 太郎のウォレットアドレスには急にお金が増え始めました。太郎は急激に増え続けている残高を眺めながら、ただ単にボーとしていました。今何が起きているのか、全然理解できなかったのです。

 実は、SNSの著作権認証プロトコルが稼働しただけでした。太郎は単純に作品を描くことだけに時間を注ぎましたが、太郎の作品からヒントを得たプロのイラストレーターは、太郎より完成度の高い作品を作り出して大きな成功を収めた訳です。プロのイラストレーターが成功したのは、太郎が「提供」したアイディアを採用したからですが、もちろん、太郎の許可を得たわけではありません。

 但し、プロのイラストレーターがその作品で収益を得るたびに、著作権認証プロトコルによって、自動的に太郎に一部の収益が分配されたわけです。』

 ストーリーは以上で終わりですが、人々が自由にアイディアを発表できる、創造力で溢れ出す社会作りのためにOVO.SPACEは一歩ずつ頑張っています。発案、アイディア等の人々の脳内にしか存在しえない情報世界を可視化させ、有機的にNFTと融合させて価値を付与することで、真新しい工業社会が出来上がるかもしれません。

 OVO Team より

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